onsen-rider’s diary

失業するぞぅっ!

蓄膿症手術の話をしよう

大昔のお話です。
なんでか小さい時から鼻が悪かった。所謂、蓄膿症って奴だった。
授業中でも鼻をかんではゴミを捨てに教室の後ろに捨てに行っていた。
鼻が悪いせいで集中力が無かった。なので勉強でも運動でも凡庸な成績だった。
高校まではまあそれでも何とか立ち回ってきていた。
しかし大学受験が後1年となった所で、この鼻詰まりで集中できないのは致命的だった。
共通一次試験は国語、英語、数学のテスト時間は2時間だった。2時間鼻詰まりで受験することは絶望的だった。
ここでオイラは一世一代の覚悟を決めた。
「鼻詰まりのハンデを勉強量で挽回する位なら、暫時の痛みで鼻詰まりを通した方が受験対策が楽じゃね?」
って事で蓄膿症の手術をする事にした。
この時、偶々ガンセンターに県内一の蓄膿症手術の名医が居た。
迷わずお願いした。
大昔の蓄膿症の手術は内視鏡なんてものは無かった。
上唇の裏側にメスを入れて、上唇から鼻に向かってビローンと捲りあげての術式なのだ。
しかも蓄膿症は鼻の穴の形が悪い?のか?鼻の穴にノミを入れて金槌でガンガン叩いて骨を削るのだ。
要するに頭蓋骨を削って鼻の穴の形を整えるって言う乱暴な手術だった。
しかも部分麻酔で意識ははっきりしている。
意識のある状態で頭蓋骨にノミの歯を立てられてそれをトンカチで叩くもんだから、それはたまったもんじゃない。
オイラは「痛いイタイいたい!」と叫んだ。
名医は麻酔医に指示をだした。「うるさいから眠らせろ」
オイラは落ちた。
病室のベッドで起きると「絶対安静」だった。どうやら?骨を削り過ぎたのか?出血が多かったのか?
数日は頭をベットから動かさないように指示をされた。
術後1週間が経ち、鼻の穴の中の傷を押さえていたガーゼをピンセットで取る時が来た。
名医が左手で俺の鼻の穴を銀色の治具で開けて、右手のピンセットで鼻の奥のガーゼを掴んだ。
掴まれたガーゼは粘膜と癒着していて強烈な刺激が鼻腔に伝わった。
今まで体験した事のないようなこそばゆさが去来してオイラは大きく息を吸った。
瞬間、目の前の名医は身を翻した。と、同時にオイラは史上最大のクシャミをした。
「ぶわはぁ~っくしょん!」
それと同時に鼻の穴に入っていた赤黄色いガーゼは弾丸の速度で空中に放たれ、はるかはるか遠い病室の反対の壁に「ベチャ」っと叩きつけられた。
この名医は血塗れガーゼ弾丸をよける名人だったのかもしれない。
まさかキアヌ・リーヴスだったか?