onsen-rider’s diary

失業するぞぅっ!

ツトム先輩 昔話 小噺 笑い話

b昔々のお話です。
新入社員で入社した会社の寮には「ツトム」と呼ばれていた先輩社員が居た。
当然、後輩になったオイラ達もその先輩の事を「ツトムさん」と呼んだ。
その土曜日は寮の先輩達とボーリングに行った。
ボーリングを楽しんだ後、寮に戻って先輩の部屋で打ち上げ飲み会をする事になった。
皆が靴を脱いで部屋に上がったところで先輩が叫んだ!
「オイ!ツトム!お前その靴なんだ?」
その叫びに皆が「ツトムさん」の足元を見ると真ん中から左が青色で右が赤色に塗り分けられた革製のボーリングシューズ(*1)だった。
「お前、それボーリング場の貸し靴じゃん!返すの忘れて履いて来たのか?」
皆がそれを確認するとそこここで失笑が漏れた。
笑われた「ツトムさん」は強がりで返答した。
「俺の元の靴はキャンバス地だった!それが革靴になったんだから俺は得してんじゃん!」
「でもお前、そのアシュラ男爵(*2)みたいな靴でその辺歩くのか?」
失笑は爆笑に変わった。
打ち上げ宴会の前振りとしては最高のオトボケだった。
宴も進んだ所で寮の玄関の公衆電話(*3)が鳴った。
オイラが走って受話器を取ると「宮崎ハヤオさんは居ますか?」と聞いてきた。
オイラ「宮崎ハヤオさんはこの寮には居ませんよ~」っと言って電話を切って宴席に戻った。
「今電話で宮崎ハヤオさん居ますか?って言われたんすけど、そんな人いませんよね~?」
すると突然「ツトムさん」が叫んだ!「馬鹿野郎!それはオレだ!俺への電話だ!」
怒鳴られたオイラはキョトンとして聞き返した。
「だって、ツトムさんは宮崎ツトムさんでしょ?電話はハヤオでしたよ!」
「馬鹿野郎!俺の本名は宮崎ハヤオなんだよ!ツトムはあだ名だ!」
「なんで宮崎ツトムなんですか?え?あ!?」
この「ツトムさん」は、なんで名字が同じだけで凶悪犯の名前をあだ名に付けられているんだ?
しかもその凶悪犯由来のあだ名を皆が使うのを許しているんだろう?
ある意味大らかな人だったんだな~。

(*1):大昔の話なので携帯電話なぞ無く、社員寮では1台の公衆電話を皆で使っていた。
(*2);永井豪作の名作「マジンガーゼット」に登場する敵ボスキャラ。顔の半分が男で、半分が女。
(*3);大昔の話なのでレンタルボーリングシューズは盗難防止の為に街では履けない様な恥ずかしいデザインに敢えてしていた。